いや、これから寝ます

何を無駄なことを…いや、でも一応 0.1g 単位で重量を削る挑戦というのは、挑戦として無駄ではないと思う。(でも、役立てる場面が今後の人生で絶対に出てこないからやっぱり無駄だ。)


どんな無駄をやっていたかというと。
以前からもにょもにょやってるやつの、機器関連の話なんで、わからなければわからないと思いますが。あんまりいろいろとはっきり書いてもいいことないので。
ともかく今回は電池式の USB 電源をもういっこ開発しとけっていうような話。


バイスも含めて 50g を切る*1には、USB コネクタから 5V を吐く電源の重量を 30g 以内に留めなくてはならない。何故 50g かというと、郵送する際に定形郵便として送れるからである(※ この記述には誤りあり。以下の記述を参照のこと)。ただし、郵送するのだから、封筒などのぶんを除くと全体で 45g 以下に収めたい、となると理想的には 25g 程度まで絞れるとよい。
これは簡単なようにみえて、そこそこ難しい。というか、実現可能な方法は限られてくる。いちから作るならまだしも、既製品を流用・改造して何とかするとなると、CR123A を使用した携帯用電池式緊急充電器を使用する以外の方法は無い(たぶん)。
というわけで。

普通にスーパーとかで売ってる。電池が付属してるから、この値段を考えると結構格安なのかも、とか考えることで呪文詠唱と同等の効力が発動するオカイモノ魔術。たぶん黒魔術系だ。
でもって通電するいとまもなく殻割りされてるかわいそうな子。


今回のこれは、基板に全てのパーツが半田付けで取り付けられているタイプ。改造のし甲斐はありそうだ。スマートにできるかもしれない。…が、とにかく、まずは出力を解析しなければならない。電池を繋いで、テスターで電圧を測定する。…しかし、3本の端子間の電圧は、どれを測っても 5V にならない。3.3V と 数10mV 。電池電圧とぴたり同じ。昇圧してない。なんだこれ。壊れてんのか。いや、おかしいだろ。
ということで、本来の機能である、携帯電話への接続をしてみる。すると、しっかり充電開始。この状態で電圧を測ってみると、おろ、確かに 5V 程度が出ている。なんかそんな特殊なスイッチング操作が行われているのだろうか? そうとは思えないのだが。
電池で困ったら「気の迷い」へ。ちゃんと解答へのヒントがあった。

携帯に接続することで GND と電池の - が接続(ショート)されて、昇圧回路が ON になる仕掛けだそうだ。ということは、この 2つのピンをショートすれば 5V が取り出せる、ということではあるが、USB 電源としてはここにスイッチを付ければ好都合だ。
ということで、有りものを探すと、ちょうどいいスイッチがあったので、使用。端子が L字に曲がっている 基板実装用だったので、3P のうち 1本は先端を切り落とし NC 扱い、残りの足は若干曲げて位置合わせ、足にエポキシを盛ってちょんと基板に乗っけ(絶縁とか取ってないけど押し付けなければエポキシが絶縁してくれるし、基板にグリーンレジスト施されてるから大丈夫でしょう!きっと!)、固定。その後、半田付け。

基板上の 3つの端子のうち、真ん中を USB の 1番ピン(VBUS+) と接続。両脇をそれぞれスイッチと繋ぎ、最後に USB 4番ピン(GND-)を近いほうの端子と繋いでいる(赤いビニル線が変な形になっているのはピンセットでつまんでいたから。ショートの心配もないので別にビニル線使う必要はなかった)。
USB の 2番と 3番は使わないので、切断して、ヤスリで削ってある。電気的にはこうして切ってしまったほうが安心だが、邪魔にならないように工夫すれば、接着の際の芯として利用する手もあり。
コネクタも、例によって例の如く、エポキシで固める安直工作。でも、単3 タイプのときのような強引な止めかたはしなくてもオッケー。

そして例によって例の如く、コネクタ換装しても違和感がない。
もう少し計画的に、寸法なども考慮に入れながらちょっと丁寧な仕事をすれば、まるで USB コネクタが付いているのを普通に売ってたみたいな感じになるだろう(って、しろよ丁寧に、って話)。
因みにコネクタが微妙に曲がって付いているのは、これは仕様です(コネクタのエンドがまっすぐではなかった。こっちは先に半田付けしたのでそこからあんまり動かしたくなく、そのままに)。
で、スイッチはこんな感じに…
に…
 
うわー、でかい穴開いてるよ! かっこわるー!
だってケースに収めるのにどこが干渉してるかわかんなかったんだもん orz


というわけで、これであとはどのくらいの電源容量を期待していいのか、だが、流石に単3セル 2本と同様、とまではいかないであろう。これの 7〜8割ぐらいはいけるのかな。でもって重量は半分以下になるわけだから、やはりリチウム電池スゲーって話。
その重量、量ってみたところ、電池込みで 28.86g 。絶対条件である 30g は切ることに成功したが、電池蓋を外し(-1.93g)、薄い封筒を使用し(2.11g)、防水と補強の為にユニットを包んで入れているビニル袋も最小限のものにして(1.30g)やって、一応数字の上では 48.34g 。実際には、補強用と封緘用のテープ、あと、切手が加わる。切手 1枚は 約0.05g 、無視できるレベルだが、コネクタ抜け止めテープにガムテープを使用するか、セロテープにするかでは 0.5g 程度の差が出てくる可能性がある。こちらでの実際の計量値が 49g 以上あった場合、郵便局での量りかたによっては 50g を越す可能性も充分に想定でき、あまりにギリギリなのはまずい。
因みにスイッチを省略して得られる軽さは 0.8g 程度。決定打とはならないが、こうまでギリギリだと結構効いてくるかもしれず…。
ここで隠しコマンド的な裏技登場、リチウム電池は、実はものによってかなり重量が異なる。一般的なブランド品は 16 〜 17g くらいあるが、どこで製造されたかわからないような安物リチウム電池だと 13.5g 程度のものもある。これであっさり 4g 近いダイエットに成功。安心して定形郵便に……

ただし、大きな問題を 2つ、見落としていた。ひとつめの問題、重量が軽くなって郵便料金が安くなる以上に、電池代が高い。普通に CR123A を使用する限り、最低でも 1回 \200 かそれ以上かかる。充電式の RCR123 を使用すれば解決するかといえば、こいつは 1次電池の容量の 1/2 〜 1/3 程度しかない。稼働時間があまりに短くなるため、不可。
しかも、その、節約できるはずの郵便料金についても、ひとつ問題が。そもそも CR123A の直径が、定形郵便の厚さ上限を超えている。であるからして、どんなに軽くしても、CR123A を電源として使用する以上、定形郵便にはならない。したがって、料金は \90 ではなく、定形外郵便の料金が適用されて \120 。50g を切ったことにより節約できる郵便料金は 1回 \20 。だったらはじめから \140 貼って、ちゃんと電池蓋して信頼できる電池使って、ってそんなことならば単3 タイプ使えばよくね?


メリット無ぇー。


結局、「いやー CR123A を大量に持っててどう消費したらいいかわかりませんよ」という極めて珍しい人ぐらいにしか、この電池式改造 USB 電源はお勧めできない、というか、私自身がどう使うんだ、と、現在逡巡中。
コンパクトだし、軽量だし、改造は簡単(というか、エレガント?)なので、とにかく改造がやってみたいんだよ、という向きにはいいのかもしれない。


…寝るんじゃなかったのか。

*1:バイス重量は 約18g (現在出張中なので正確にはわからないが、17.8g ぐらいだったような気がする。)