清水建設の TVCM がそこはかとなく苛立たしいその理由

面倒臭いので検索とかしてない(したくもない)から、その問題の CM がどこかで公開されてるかどうかとかそういうのは知らない。興味のある方は自力で探してください。

で、それがどういう CM なのか、大雑把に説明すると、子供たちがはしゃぎまわっているシーンを繋いで、バックに子供の歌うオリジナルソングを流している、というもの。歌詞内容は、「きっとできるよね」とか「楽しみに待ってるよ」とかいうような感じ。
この CM のなにがいけないか。それは、当然の如く「歌」なのであって、細かく突っ込んでゆくといくらでも突っ込め過ぎてきりがないのであるが、とくに象徴的なのが以下の歌詞。(正確ではないと思うが、だいたいこんな感じ。)

ドキドキしたいよ
びっくりしたいよ
ワクワクしたいよ

上掲囲みのような感情動線は、本物の子供には、無い。
つまりこの歌の歌詞は、ニセモノ、要するに擦り切れた大人が書いたということである。確かに子供は危ないことやらおっかないことやらスリリングなことやら、が大好きである。でも、だからといって 0次近似的にドキドキだとかそういうものを求めているわけではない。
ましてや「ワクワクさせてよ」なんて(臆面もなく口に出して)言い出すのは、擦り切れた三十路女か、同類の魂を持つ擦り切れたオッサンぐらいのもんだ。そういう擦り切れ(以下略)が無理矢理子供目線で何か言おうとしたりするからこういう狂気の沙汰になる。正直、気持ちが悪いだけだ。どのくらい気持ちが悪いかというと、いま何かと話題の幼児ポ○ノと同じくらい、気持ちが悪い。


何でこういうおかしなことになってしまっているのかというと、この CM 、一般視聴者に対するメッセージと見せかけて、実は TV の前にいる清水建設の社員、および関連会社、協力会社の構成員に対する応援やら啓発やら士気高揚を目的とした応援 CM だからだ*1。「ほら、子供たちの未来のため、あなたたちは立派な仕事をしてくださいね、子供たちは待ってますよ。さあ、子供たちの喜ぶ仕事をしてくださいね、つーか、くだらねぇこと考えないでせっせと働けよ。おらおら。」というのがこの CM の本筋。無関係の一般視聴者が「そうか、清水建設ってぇのはなんかつくってる会社なんだな」と知る、なんていうのはむしろ副産物。
そんな、そもそもが不自然なものをむりやり公共電波で流そうとするから、気持ち悪い後味だけが砂のようにじゃりじゃりと口中に残る。


かくの如く、企業 CM でもって、社員を鼓舞する意図を込めて作られているものというのは、往々にして違和感を植えつけるか、反感を売りつけるかしかしてないから、企業のためを思えばこういうのは即刻廃止すべきだと思う。
もっとも、こんな CM を臆面もなく流す業界といったら、建設業界などのお役所企業とサラ金業界、あとは悪徳商法ぐらいしかない。要するにブラック企業。逆説的にはこういう CM を流す会社や業界はいかがわしい、というわかりやすい指標となっているという見方はできるから、世の中にとってはある意味有益なのかもしれない。

ついでに言っておくと

いつかきっとできるよね

いま、妄想していること、というのは、十数年〜数十年後の現用技術だ。あるいは、その卵だ。それを実際に形にするのは、そのときの20代〜40代、つまり、今は子供であるところの、歌ってるおまえらだ!
わかってんのかおまえら!
待ってるんじゃなくてだな。それはお前がやるんだよ!! その前に、てめえら全員湯あたりしやがれ!!(©カミナ)

で、

後日談をちょっとだけ書いた。

*1:と言い切ってみたが、勿論、就職活動対策の企業イメージ CM 、ということでもある。ただし、そのための CM と位置づけるなら位置づけるで、もっと阿呆みたいにずばり直球じゃないと大学生には伝わらない。つまり、件の CM ではからっきし、伝わってない。だから、先の断言も、実用的にその用を為していない以上、強ち間違いではない。