そもそも 10進数とかメートル法とかの呪縛に過ぎない

私がフィルム一眼レフで(悠長に)遊んでいた頃、ちょうど PENTAX の Limited シリーズが次々と発表・発売されていた。とりわけその第一弾であった 43mm は持ってみて、撮ってみて感じるその所有感に酔いしれるレンズであり、その魅力について悪く言う人をまだ私は見たことがない*1。少なくとも私は、このレンズを使うだけで写真が 2段ぐらいうまくなった気がしたものだった。
この Limited シリーズの特徴のひとつは、どれも中途半間な焦点距離であるというところにある。いまや一眼レフカメラ焦点距離が換算 1.6倍だ 1.5倍だなんてことになっているから、50mm 100mm という丁度の数字には全く意味がなくなってきており、言いようによっては時代のさきがけだったわけだ。
ではこの数字にはどういう意味があるのか。有り体に言えば、焦点距離に縛られないことによって得られた設計の自由度をレンズの質に活かす、ということらしいのだが、画角であるとか、そこから来る使い勝手とか、何か意味付けがあるのだろうとみな考えた。でもってまず、43mm については、メーカーの宣伝文句にも「撮影サイズ 24×36ミリの対角線寸法が 約43ミリであり、真の標準レンズというべき焦点距離」というようなことが記され、みな「ふーん、なるほど、そんなものか」と一応の納得をした*2。しかし、続いて発表された 77mm 、31mm に関しては、どういう意味があるのかいつまで経ってもわからない。
しばらく経過してから、PENTAX の光学技術者が Web に投下したコラム*3によって明かされた 77mm という焦点距離のその理由は、かなりの人をがっかりさせた。少なくとも私は、がっかりした。


めでたいからだってさ。


結局私は 43mm を「使う為」に中古で入手したのを最後に、一眼レフから足を洗うこととなった。その後貧しくなったからカメラで遊んでいる場合ではなくなった、というのが、ことの真相ではあるのだが、まだ裕福だったとしても 77mm を入手したかというと、たぶんしなかっただろうと思う*4

なんで突然そんな話かと言いますってぇと

これ見たから。

*1:見たことが無いだけで、少なくとも私が中古で買ったその品を手放したその人は、持ち続けていたいとは思わなかったということかもしれない。

*2:落ち着いて考えれば「それのどこが真の標準?」なのであるのだが。

*3:ソースが示せるとよかったのだが、生憎、失念

*4:というか、中望遠で遊ぶというだけならば、JUPITER-9(85mm/f2)持ってるし。比較対象にはならないけど