よく「ナマコとか最初に喰った人ってほんと偉いと思う」っていうけど

ナマコとか、ウニとか、ホヤとかね。あと納豆なんかもよくそういういわれ方をする。
でもね。ひじきとかこんにゃくのほうが、よっぽど信じ難い。
まあ細かい話も面倒なのでざっくり言ってしまうと、ホヤもウニもナマコも殻割って喰う、それだけである。そのまんま口に放り込んでみる、必要なのはそこのへんのガッツだけである。納豆もそう変わらない。煮豆を藁で梱包して放置したら醗酵してしまった、それをとりあえずそのまま口に放り込んでみる、そこのへんのガッツだけである。やばいと思ったら吐けばいい、やっぱだめだったか、だよな、で終わり。
こんにゃくだの、ひじきだの、は、そうはいかない。何しろ、普通にそのまま喰えば体に毒なんである。ひじきはそのままだと舌が麻痺するほどえぐいらしい。こんにゃくに至っては触るだけでものすごい炎症を起こしたりする劇物を含んでいる。そういう「食材」などととても呼べないようなものを、大事に育て、あるいは苦労して採取し、気の遠くなるような手間と時間をかけてやっとこさ口に入れても平気な状態にしているのだ。
しかも、そのできあがったものの栄養価は著しく低い。「精がつく」わけでもない*1。おそろしく美味というようなものでもない。むしろ、味付けなしでは喰えたもんじゃない。
偉すぎる。
…みたいなことを、マンナンヒカリ(要するに御飯粒に似せたこんにゃく粒)配合のひじきごはんというやつを喰いながら、ふと思った。その栄養価の低さゆえ、今ではダイエット食、低カロリー食材として非常に重宝されている。

*1:古今東西、ゲテモノ料理といえば「精がつく」と相場が決まっている。精をつけるためだったら、なんだって喰う、みたいな、所謂、そういう男のアレだ。